恋に落ちたステラ
□完璧な人なんて存在しない
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「もっと、もっと完璧に…!」
違う、違うよ、吹雪君。
サッカーは完璧にするものじゃない。
『っ、瞳子さん。やっぱりFWとDFを同時になんて無理だよ!』
「やるしかないのよ。…吹雪君ならできるわ」
瞳子さんは吹雪君が精神的に不安定なのを知って言ってる。
このままじゃ、いつか本当に吹雪君が壊れちゃうよ…!
『瞳子さん、僕を出して』
「…わかったわ。選手交代!目金に代わって東条!」
***
「やっと出てきたな、東条鈴音」
『オサーム…じゃなかったデザーム!僕、負ける気ないから』
「ふん、望むところだ」
目金君に代わってフィールドに入ると、治っちがにたりと笑った。
エイリアのためにサッカーやってるんじゃない、純粋にこの試合を楽しんでいる…そんな笑みだ。
『治っち…以前にも増して戦闘狂が悪化したね……』
なんか笑い方が(主に変態的な意味で)ヒロトに似てきた気がするけど。
でも、サッカーを楽しんでるみたいでよかった。
それとは逆に、吹雪君は時折辛そうな顔を見せる。
やっぱり、無理してる。
『吹雪君、ちょっといい?』
「うん、どうしたの?」
『…無理、してない?』
「!!…僕なら、大丈夫だよ」
そう言って笑ってはいるけれど、やっぱりどこか無理がある。
『嘘だ、無理してる。…そんなに僕って頼りない?』
「違っ、」
『もっと僕を頼ってよ。…完璧になんて、ならないで……』
「鈴音…」
『吹雪君が辛いときは僕が支えるから、だからっ…!』
だから、1人で抱え込まないで。
そう声に出す前に吹雪君に抱きしめられた。
『吹雪く、』
「…ありがとう」
耳元で囁かれたその声は消え入りそうなくらい小さかった。
だけど、確かに聞こえたその言葉がとても嬉しかった。
「お取り込み中悪いけど、今が試合中ということを忘れないでね」
瞳子さんの声で自分が吹雪君に抱きしめられていたことを思い出す。
『へ…?うわぁっ!?』
「え、あっ!ご、ごめん!」
『いや、僕の方こそごめん』
じゃなくて!今は試合中なんだった!
『ね、吹雪君。ちょっと僕の作戦に協力してくれないかな?』
「うん…?」
『反撃開始、ってね』
***
今回ちょっとシリアスっぽくなってしまったorz
じ、次回はギャグ多めになるよう頑張ります(・ω・´)キリッ
2012.03.24