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□近すぎて、
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『倉間ぁー!倉間倉間くら、「聞こえてる」じゃあなんで無視するの!?』
「…どうせたいした事じゃないだろ。てか何で俺の部屋に勝手入って来てんの」
『いいじゃん幼馴染でしょ?じゃなくて!そんな事はどうでもいいの、あのね…ってちょっと聞いてる!?』
「はいはい、聞いてる聞いてる」
脱力しきった声でサッカー雑誌を読みながら倉間は言った。
聞く気ないよね、この子。
『私ね、好きな人できたの!』
「ふーん、好きな人……え?」
なんとも間の抜けた声が聞こえた。
「………」
『倉間?おーい、倉間ー!』
ぶんぶん、倉間の目の前で手を振ってみたけどぴくりとも動かない。
雑誌を持ったまま固まっている間抜け面の倉間。
「…誰、」
『あ、喋った』
「お前の好きな人っての、誰?」
『うん、あのね…』
「っ、言うな!」
『え…?』
「…っ、悪ぃ……」
『くら、ま…?』
***
何してんだ、俺。
気づいたら部屋から飛び出していた。
あいつの口から俺意外の男の名前を聞くのが怖くて、聞きたくもなかった。
名前はただの幼馴染だ。別にあいつが誰を好きになろうと関係無いはずなのに。
なのに、なんで。
――本当に、名前はただの幼馴染?
違う、本当は…本当はずっと前から俺は…!
『倉間!』
名前の声が聞こえた、瞬間。
俺の腕は名前の白くて小さな手に掴まれていた。
『人が勇気出して告ろうとしてんのに、逃げないでよ』
「…は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。
え、告るって…誰に?
『倉間が好き』
顔を真っ赤にして、確かに、はっきりと。
名前はそう言った。
「っ!お前、告り方がいちいち周りくどいんだよ…馬鹿」
『う、うるさい!』
「…俺も好きだ。たぶん、初めて会ったときから……ずっと」
近すぎて、
(一緒に居ることが当たり前で)
(気づかなかったこの感情)
(やっと、気づいたよ)
***
倉間君のツンデレは最強です(°∀°)bグッ←
2011.12.24