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□悪いコトしたいお年頃
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『虎丸君虎丸君…』

「何ですか?」

『その腕の中にいるのは何かなぁ?』


虎丸君の腕の中にいるある生き物を見て私の口角は引きつった。
だって、だって!その生き物は白くてもふもふした毛におおわれた…。


「何って、犬ですよ。い、ぬ!」

『みぎゃあああっ!そ、それ以上近づけないでえぇぇ!』


***



『私ね、犬が駄目なの…』

「え、あんな小さいのでもですか?」

『小さい頃に犬に追いかけられたり吠えられたりして以来トラウマになっちゃって、』

「名前さんの弱点、ってことですか」

『まぁ、そんなところ…かな』

「ふぅーん。へーぇ」


にやにやとまるで木暮君が悪戯をしているときのような笑みを浮かべる虎丸君。
言うんじゃなかった、そう思ったときにはもう遅かった。


『やだやだやだ!こないでーっ!!』


虎丸君の手の中には先程の白い子犬が。
逃げ回る私を楽しそうに追い駆けてくる。
私は涙目で必死に部屋の中を逃げ回る。
けれどサッカーをやっている虎丸君から無事に逃げきれるはずもなく部屋の隅に追い込まれてしまった。


「ほら、名前さん。可愛いですよ?」

『無理無理無理っ!何でも言うこと聞くからそれ以上近づけないで!』

「なーんてね、」

『…へ?』

「これ、ぬいぐるみですよ」

『ぬい…ぐるみ?』

「あはは!名前さんって意外に騙されやすいんですね」


そう言って虎丸君は私の目の前に白い子犬のぬいぐるみを差し出した。
本物じゃなくてほっとした反面、騙されたことに対する怒りが湧いてきた。


『もう!ほんとに怖かったんだからね!?』

「騙したのはごめんなさい。でも、涙目な名前さん…可愛かったですよ?」


そう言うと虎丸君は私の額にキスをした。


『い、今の……!』

「隙ありってやつです」


顔を真っ赤にする私とは反対に、彼はとても大人っぽく笑ってみせた。



悪いコトしたいお年頃

(ところで、さっき何でもするって言いましたよね?)
(そ、そんなこと言ったっけ?)
(約束は守ってもらいますからね?)
(そんなぁーっ!)

***
小さい頃に白い子犬に吠えられながら追いかけ回されて以来、犬が怖くて近寄れない蛍です←
見るだけなら平気なんですけどね、シベリアンハスキーとか柴犬とか可愛いです(^^)
でも触ったり近寄ったりは無理ですorz


2012.01.01
 

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