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□夢中になって、
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『…篤志、』
「なんだよ」
『背中重いんだけど』
「あっそ」
『………』
俺、南沢篤志は今とても不愉快だ。
『篤志、重い』
「ふーん」
『どいて。ゲームに集中できない』
「やだね」
理由は簡単。名前の家に俺がせっかく遊びに来てやったのにもかかわらず名前は目の前のテレビゲームに夢中なのだ。
だから俺は腹いせとばかりに名前の背中に圧し掛かっているわけだ。
「彼氏放置して格ゲーしてる彼女がどこにいるんだよ、おい」
『ここにいますけど何か?てかまじで重いんだけど』
「知るか、耐えろ」
『無理ですー。ってあぁ!?やられたー!』
画面を見ればそこにはゲームオーバーの文字。
ふん、ざまあみろ。俺を放っておくからこうなるんだ。
『あーぁ、負けちゃった』
「みたいだな」
『あー!悔しい!!もういっか「させねーよ。馬鹿」む、馬鹿とはなんだー!』
名前がやっと俺の方を向いた。
瞬間、名前を両腕に閉じ込めた。
「俺を放置するとはいい度胸だな」
『ご、ごめんなさい』
「…それだけ?」
『それだけって?』
「ちゅー」
『は?』
「だから、ごめんなさいのちゅー」
『っ、恥ずかしいからやだ』
「俺とお前しかいねぇのに恥ずかしいも何もないだろ」
『う〜…』
顔を真っ赤にして俯く名前。くそ、可愛いなおい。
けど、いつまでも待ってやるほど俺は我慢強くないぜ?
「ほら、早くしろよ」
目を閉じて待っていると、名前から触れるだけの可愛らしいキスが降ってきた。
ちゅ、という小さなリップ音だけが部屋に響く。
『〜っ、やっぱ恥ずかしい!』
「は、可愛い」
『…篤志のばか、』
「お前がゲームばっかやるからだろ」
『む、それはそうだけど…あ!じゃあ一緒にゲームしよ!うんナイスアイデア!!』
「いや、なんでそうなる」
『いいじゃん、楽しいよ?それとも私に負けるのが怖いとか?』
「…望むところだ」
こうして第一回ゲーム大会は開幕された。
夢中になって、
(篤志ゲーム弱いね)
(うっせ、お前が強すぎなんだよばーか)
***
遅くなってしまってすみません!
何だかとてつもなく甘ったるい小説になってしまった…!
と、ともあれ!ゆーふ様、この度は二万打おめでとうございます!!
これからも頑張ってください!ずっとずっと応援してますbb
2012.03.16