Novel

□Corrosion
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あの人は死んだ
今じゃ誰も俺の前であの名前は出さない

暗黙の了解


『───…、…あ……て…る……』


あぁ、またこの夢
アイツが陽に照らされた笑顔で何か言って、俺は嬉しそうに笑ってる
でもいつも言葉が聞こえない
知りたい、その言葉を……

心は侵蝕されたまま
アイツは手放しちゃくれない

死んでも、欲張りな奴



アイツの死体はあの丘にはない
あるのはアイツがいつも言ってた『ソルジャーの誇りと夢』の形
古く錆びたバスターソード

これを見る度に思う
あぁ、アイツはここに居ないんだなって。

随分会わない間に髪がだいぶ伸びた。
尻尾みたいだって、アンタ、笑うか?
少しだけ背も伸びたんだぞ、と
そりゃアンタには敵わないけどさ


まだまだ話したいことはあるんだぞ、と

だから──…

「さっさと帰ってくるか死ぬかしやがれバーカ…」



ちゃんと目で見たい
アイツの死体を。
書類で伝えられたアイツの死なんか信じるかよ
神羅は部下にも嘘、吐くもんな。

死体は宝条に取られた
死体は溶けて消えた
モンスターに喰われた
クラウドが火葬した

色んな説があった。


クラウドがあの時火葬出来る程の力が無かったのは安易に想像出来る。
アイツの身体は絶対美味くない。
溶けて消えるとか有り得ない。


さぁ、残りはどれ?

ホウジョウノサンプル──……


あぁ、一番マトモで狂った答えだぞ、と
有り得過ぎて、逆に現実離れで。
宝条ってネクロマンサー?なんて言ってる暇は無い。

「探さなきゃな……アイツの居場所を」

俺の居場所を取り返す為に──…







そんな中、嫌な事件連続で勃発。


魔晄炉爆破事件
プレート落下事件
俺、重傷。
プレジデント社長暗殺
新社長就任

今思えば、あそこでなんで飛び下りたんだろうな……

この後も結構事件続き
書類と任務の嵐

これじゃザックスを探せない……


丁度俺は負傷ってことで休養を言い渡されていた。
要は足手纏いなんだろうな。

でも、
「好都合だぞ、と」


幸い、怪我は魔法で痛みぐらい隠せる。
流石に治せる程軽傷じゃないし、魔法で治癒は嫌いだし。

痛みに叫ぶ足を引きずって、予め盗んだパスワードで宝条の研究所地下……サンプル保管室に入った。
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