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□魔術師のいる学園5
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(・・・・・どうしよう)
『あの時』の事を思い出して、パニクッた私をファイさんが支えてくれた。
(・・・・どう切り出すか・・・。)
もう大丈夫なので離してほしいのだが、どう切り出せばいいか分らなくなった・・・・。
「もう、大丈夫そうだね。」
「!!」
沈黙を破ったのは、ファイだった。
「はい。取り乱してすみませんでした。」
そっと離すと、ファイは心配そうに顔をのぞきこませた。
(ホント、綺麗な顔してるな・・・・。)
そんなこと思いつつ立ちあがった。
「私の家この近くなので、ここで。さよなら。」
これ以上彼といると心の中が掻き回されそうな気がしたので、私は早足で寮の自分の部屋に入った。
バタンッ――――――
「・・・・・」
ズルズル・・・
玄関のドアにもたれかかりながら私は、座り込んだ。
「ハハッ・・・おかしいな・・・
忘れるって、決めたのに・・・・。」
自嘲染みた顔を手で押さえながら、思い出していた。
「暖かかったな・・・ファイさん」
本当に変な人だと思う。
鬱陶しいと思えたり、
お節介だと思えたり、
いい所ないじゃんと思ったら、
優しかったり、
暖かったり・・・・・。
「ホント、変な人。」
そんな事を、玄関にある家族写真を見ながら思っていた。