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□手料理
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ある晴れた夏の日。

暑さをしのぐだめにサンは川で水浴びをしていた。
「暑いな…
アシタカ今日は来るのかな…」
ついでに魚を何匹か取り、服を乾かしながら大きな岩の上で昼寝をした。

ガサッ コツコツッ

森の中からアシタカがヤックルに乗ってやってきた。洞窟にサンがいないから探しに来たのだ。
といってもサンのお気に入りの場所は心当たりがいくつかあったのですぐ見つけられた。

「ヤックル静かにおし。せっかく眠っているのだから」
太陽の下、気持ち良さそうに寝ているサンを細い目で見守るアシタカ。
「なんて無防備な顔なんだろうね。」

「んー…」サンが寝返りを打つ瞬間

「あ、サンッ……」
岩から転げ落ちてしまった。
ドサッ

「あ、れ?アシタカ…?」
やっぱりアシタカはサンを助けてあげていた。
下敷きとなり…………

「サン…大丈夫か?
いてっ…」
思い切り腕を岩に打ち、サンの肩を抱いて転がっているアシタカ…

「アシタカ悪いっ!ケガしたか?どこが痛い?」
急いでサンが体を起こす。

「私の事は心配するな。それより起こしてしまったね」
腕をさすりながらアシタカが言うが、そんなの無視してサンはアシタカの腕を取り、
「お前、折れてないか。ケガしてないか?」
自分の目の前にいる困った顔のサンが可愛くて、ふと怒りたくなってしまった。
「サン、こんなところで昼寝しちゃだめだよ。となりは川だし、ここは岩だらけだし。今みたいなことがおきたら危ないではないか。」
珍しくアシタカに説教されてきょとんと頷くサン。
転げ落ちたままサンはアシタカにまたがったまんまで話す2人。

「ところで、今日は何をしていたのだ?」

「あー、暑いから水浴びして魚捕まえて…アシタカ来るかなって考えてたら寝てて……」
しどろもどろに話すサン。

「ふぅん。だから髪と服が少し濡れているのか」
アシタカの指がサンの二の腕に触れる。まだ軽く体に張り付いてる髪と服。

(なんでじろじろみるんだよっ!なんか顔についてるのか?)
サンはアシタカの視線に耐えられなかった。

しばらくサンをなめ回すように見たあと、思わず
「色っぽくなったな…」



つい口に出てきてしまったコトバにさすがのアシタカも焦った………。

が、しかし
「色っぽくってなんだ?私はどうなってるんだ?
あまりむずかしいコトバ使うなっ」
バカにされていると勘違いしたサンが、不機嫌そうに言った。
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