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□髪
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タタラ場での仕事に疲れきって、アシタカは野原で寝てしまった。
(なんだよ、せっかく会っているのに……)
隣で俯せになりながら拗ねるサン。
さっきまで寝転がりながらはなしをしていたのに、喋っている途中でアシタカは眠ってしまったのだ。
(よっぽど疲れてるんだな……)
自分の目の前で無防備に寝ているアシタカをみて、
こんな姿、私以外には見せないだろうな、
特にこいつは…
とふいにサンは笑った。
仕方ないなぁ…
しょうがなく添い寝すると、ふいにアシタカの腕が伸びてきて
サンの頭を包む…
「起きたのか??」
と顔を寄せると………
やっぱり寝てる。
そんなアシタカの手が無意識にサンの髪を撫でる。
「あ…ちょっと…」
恥ずかしくて、一人で照れてしまったが、
(そっか、アシタカは眠ってるんだ…)
自分しか意識のない世界…
何か秘密を独り占めしているような気分になり、そのままアシタカの胸に顔を埋めていく。
(人間と何やってんだ、私は。)
とは思いながら、
大きな掌に撫でられている心地よさに浸り、サンも夢の世界へとおちていった。