短編集
□でも、おかげで、
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｢…全校生徒の皆、久しぶりだな。突然集会を開いてしまい申し訳ないな。
そもそも、三日前にリコールされた俺が開いた集会に、こんなに生徒が集まるとは夢にも思わなかったがな…。
……確かに、引っ込め、や帰れ、と言われてもしょうがないかもしれないな、君たちからしたら。だがな、リコールされたとは言え俺は俺だ。片桐の俺に公衆の面前で罵倒を浴びせることが出来る勇気は称賛に値するぞ、小高君。
…あ？当たり前だろう。元とは言え会長だ。全校生徒の名前と顔くらい覚えている。
……話がそれたな。本題だ。皆知っての通り、俺は一ヶ月半前にやってきた転校生…名前なんだっけか……あぁ、そう、水谷だ。その水谷に惚れた役員が仕事をしなくなり、不眠不休で一人生徒会室で仕事をこなし続け、体育祭が終わった後に階段から突き飛ばされて保健室と自室で療養してる間にリコールされていた訳だが…
…おい、ざわざわすんな。……は？仕事してなかったのはお前だぁ？ふざけてんのかお前。他の役員どもが水谷に引っ付いてんのに学園が機能してたのは俺が仕事してたからだろうが。
生徒会室で親衛隊と乱交!?おい何処のどいつだんな出鱈目言ってんのは…。水谷が？…なんでんな嘘…。あぁ、役員の入れ知恵かもな。
…だからしてねぇよ、乱交なんざ。気になるなら親衛隊の野郎が授業中にいなかったか、自分の記憶をたどれ。
…なんだ皆、急に青ざめた顔しやがって。
あぁそうだ。本題だな。
俺、転校するから。
なんでも、今回の事が親の耳に入ってな…。階段から突き飛ばされたーなんて言ったらものスゲー心配されたからな。そんな危ない所に、息子はおけねーらしいぜ。
……なんだよお前ら。俺が消えて嬉しくねーのかよ。リコール賛成署名率は80％だろ？それに、俺がいなかったリコール集会、すげぇヤメロコールだったらしいじゃねぇか。リコールが決定された瞬間も、喜んでただろー。
まぁ、そんな訳で。
…あと30分で迎えもくるしな。あ、転校今日だから。明日にはもう俺いねーからな。
あ、あと最後に。新しい会長、水谷なんだって？会長の仕事多いから、頑張れよって言っといてくれ。
じゃーな。｣