短編集

□喋れない!!!!?
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なんだろ、これ。


口には出さずに、目の前の黒いもじゃもじゃを見る。

「聴いてんのか!?人の話はちゃんと聴かねーとダメなんだぞ!!」


いやでもお前煩いし。もうちょっと声量落としてくれたら話聴けるよ。


「ちゃんと返事しろよ!!」


えー…何様なんだろこのもじゃもじゃくん。スチールウールみたい。てか一応俺役員だし、もじゃもじゃくんのネクタイピン赤いから一年だよな、俺二年なんだけど。敬語使わないのかな…。


でも無視を続けると、ただでさえ煩いもじゃもじゃくんがもっと煩くなりそうだから、コクリ、と頷く。


「そうか!!わかればいーんだよ!!」


満足気に去ってくもじゃもじゃ。なんだったんだろーか…


「…あの、睛(ヒトミ)様…」


おずおず、と近寄ってきたのは俺の親衛隊隊長。色々と聴きたいことがあったから、手を掴んで歩きだす。
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