浪漫者〜romanticist〜

□不誠実な程「誠実」な。
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そいつは……死に掛かっている。街の片隅。ごみ袋の上で。
「おつらえ向きに…雨か?…」
秋の雨が、体を濡らし…生命の細い存在をしる。
腹から流れる、血が「止まらない」。
…雨に湿気る煙草に火を着けて、空を見る。
「似合い…だな?」
長い前髪、黒いスーツ…燻らす煙草。
[俺には、似合いの死に方だよ…]
誰に言うともなく、呟き笑う。
好きな女も居たし、好きな酒も煙草も……やりたいから、やった。
誰が傷つこうが、構わない。知らない。
僕「は」知らない。
「知りたい」とも、思わない。
ただ、死に行く前に「空」を眺められた事には…感謝をしたい。いや、する。
「生きていれば、同じ空の下で繋がっている。」……死んでも、空で繋がっている。
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