真っ暗な闇の音(ゴーストハント)
□禁じられた遊び
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そうして緑陵高校にやってきた私たちは先生たちの態度が悪いことにイライラしている麻衣を収めながら松山、といういかにも嫌な教師に案内されるように会議室へと歩き出す。
会議室へと行く途中で私はぺたり、と壁を触って一瞬目を閉じる。――想像以上の鬼火だ。こんなにいるということは降霊術か何かやったか此処が過去、墓場だったに違いない。
そう思っていると会議室につき其処に安原さんがいたのを視界に留めて透視を終わりにする。あんなに一杯鬼火がいたらここは収集がつかなくなるだろうに。ここまで放置していた学校に逆に尊敬する。
「十七相手に声を張り上げるとは大人気ないですね。」
声をあげる松山にそう告げると今まで大人しくしていた私が発言したことによって松山は一瞬固まった。というか私が聞いていなかっただけだけれど。
「うるさいです、あんたは。怒鳴らなくてもこの距離ならば十分です。耳の悪い老人を相手にしているのではないのだから少し黙ってくれませんか? ここから出て行ってくれるのならば尚私の良すぎる耳に不安が残らなくて済むのですが。」
つらつらと毒を吐くと立ち上がった教師は眉を吊り上げながら怒鳴り散らしてきた。うるさい。
「――てめえ、誰に向かって口を聞いてんだあ!?」
「――用なし役たたずは引っ込んでろ。何なら一生その口で喋れないようにしてやろうかあ?」
うっわー、と呟く滝川さんと麻衣を放置して右掌を天井に向けると何かを感じたのだろうか渋谷さんが腕を掴んで止めた。
「離せ、今こいつをどうにかしねえと気がすまねえよ」
「……落ち着け。こいつと一緒に地獄に堕ちる気か?」
耳元で囁かれるテノールに我に帰ると右掌をそのまま握りしめて深く、息をついた。
「文句があるなら校長室にでも行けば? 依頼したのは校長だし十分に文句をたれてくるといいよ」
私がそう言うと激情した松山がそのまま出て行った。これで耳の安心が保たれる。そう思ってた矢先ぱきん、という音が聞こえた。麻衣が何かを言っててあまりよく聞こえなかったけど気づいたらドアを開けていた。
その直後。音がたくさん聞こえて自分は走りだした。なんだ!?と言いながら追いかけてくるのは滝川さん達。
「どうしたんだ?」
私が問いかけると髪を二つ結びした女子生徒が泣きながら「犬が――」と呟く。教室を覗き込んで、ドアを塞ぐように立つと邪魔だ、と滝川さんに言われるけれど今はそこじゃない。暴走したあとに私の上を通過していった犬は直ぐに消えてしまった。
――嫌な予感がする。