散ってゆく音(アホリズム)

□第五夜
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比良坂さんが昨日。
わたしの部屋に来て協力してくれと頼まれた。
一応借りがあるし、と考えたわたしは承諾して今日向君たちの部屋にいる。



――けれど、六道くんは死んでいる。



「なんだ、もう少し早かったら協力したのにー! みんなのいけずー」


わたしがそう言って日向君の腕を指でつつくと眉を顰めた日向君がうっせえ、と言った。

そうして日向君の姉と会談しながらじい、とそのお姉さんを見ているとお姉さんが眉を下げた。



『あんた……』
「それは言わない約束だよ、宝来さん」


日向君の腕を退けながらパソコンの前に立つと宝来さんの目が見開かれた。
多分、能面みたいな顔をしてたからだと思う。
しかし直ぐにため息をつくと『遅いわよ』と後ろを指差す。


だろうね。
とか他人事、考えていたりするけど。


「あーあー、もう宝来さん口かるーい」


『貴方が墓穴掘ったのよ。』


肩をすくめながら苦笑を作れば髪をがしがし、と書いた宝来さん。


「姉キ、こいつと知り合いか?」


『知り合いも何も、この子の家には世話になってるもの。この学校も、政府も』


「あー、もうそれ答えって言うんだよ!
 こんな展開ついていけるはずないでしょ!
 皆おバカさんなんだから!」


「おめえに言われたくねえよ!」


『……もういいわ。取り敢えずこの件は以上』



プチン。
パソコンが切れた。
辺りを見渡すと一人足りないことに気がついた。



「比良坂、さん」


わたしが呟くとノアちゃんが部屋を出て行って走りだした。けれど、わたしは後を追わない。


「なんで行かねえんだよ」


「わたし、そんなに口が上手くないんだ!
 其れに、ちゃあんと説明しないとおバカさんたちにはわかんないと思ってね!」


親指を立てて笑ってみせると日向君が椅子に座った。それに続いてみんなも座る。



「音無家はね、代々“文字”を司る家だと知られているんだよね。聞いたことないの、日向君」


「え、ああ……あの家、なのか?」


「そう、わたしはその家の直系。
 けれど、跡継ぎはもういるからさー暇で暇で」


「跡継ぎ?」


「うん、わたしよりも出来が良いおにーさんでねえ、優しいしとーっても格好良いんだよね!」


あ、話脱線しちゃった!
と言うと全員がため息をつく。
そうして立ち上がるとぐう、と伸びをする。


「わたし、この部屋で宝来さんの連絡待ってるから、皆探しに行って来てー」


ひらひら、と手を振りながらため息をつく面々を見送ったのであった。




さて、どう動こうかな。
 

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