真っ暗な闇の音(ゴーストハント)

□禁じられた遊び
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受験が合格してやっとその手の話が収まった頃。そう、冬になったのだ。


寒さに身を震わせながら事務所に入ると誰もいない。それもそうだ。三年は最後のテストを期に自由登校となり自分も特にすることなかったから大学の課題云々をやりにこちらに来たのだから。


「すいません、渋谷さん。大学の課題と卒業生代表の言葉の文章後一時間ほどで終わりますので、仕事はその後で良いですか?」


扉を開けながらそう問いかけると所長がぬ、と目の前に出てきてびっくりする。目の前に美しき顔があるとさすがにびっくりする。


「……課題ならば僕が見てやるが?」


珍しいことをその口から発せられて思わず言葉を詰まらせるけれど、どうすればいいかわからなくなって顔をそらす。


「……ええと、大丈夫です。気にしないでください。忙しいでしょうし」


私がそう告げると渋谷さんは首を横に振って「今日は終わった」と答えた。けれどまあ別にいても邪魔にはならないと思う。


「じゃあ、お願いします」


私がそう告げると渋谷さんはそのままソファに座っていく。――となりかよ。


「課題、見てやるから…やれ」


「……文学部の日文学科でもいいんなら」


よいせ、と座りながら課題をやり始めるときにした様子もなく渋谷さんはそのまま課題を見る。




「――……ええとここのぞは強意だけど……ここが係り結びだから…」



ぶつぶつと呟きながら訳をすると渋谷さんは眉を顰めながらびっちりした私のノートを見た。


「……そんなに古典得意か?」


「いや、苦手」


さら、と答えた私に固まるような気配がしたけど気にしない。
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