真っ暗な闇の音(ゴーストハント)
□血ぬられた迷宮
2ページ/8ページ
「――刹羅」
ついたよーと声をかけられて目を覚ました。車に揺られて何時間経ったか。依頼された場所についた私達は車を降りた。
とうとう春になって大学生に上がった自分は緊急要員……つまり調査は暇なときだけでいい、と言われていたが大学の春休みは長いので其れを利用してきた始末である。
「ひゃー…すご…」
簡単の声を漏らす麻衣、言い合いを始める三人にあいかわらずなかよしさんですねえ、と安原さんまでも言う。
麻衣の話によればこの依頼が持ちかけられたのは渋谷さんやリンさんの上司である森まどかという女性かららしい。次の日に全員呼び出されたみたいだけど生憎私はその日学校があって更に調査に行くのならレポートを済ませたいということで欠席したのだ。
そんなこんなで屋敷の中に入った。瞬間、血の臭いでいっぱいになって私は咄嗟に息を止めた。大橋、という職員の話をできる限り耳で拾うけれど結構辛い。
「親しくさせていただいている霊能者の方たちです」
とにこやかに言う安原さんは越後屋宜しくである。けれどそれについて考えられるほど余裕もなく。
「こちらの四人はぼくの助手(アシンスタント)です」
そう言われて三人が自己紹介し終わった後声が出なくてけほ、と咳き込む。
「――大丈夫ですか? 顔が白いみたいですけど」
大橋さんに言われて首を横に振る。これじゃあ話にならないからなんとかしないと。取り敢えず名前だけ名乗ろうと思って口を開いた。
「すみません。如月刹羅です」
こちらへどうぞ、と大橋さんに言われてついて行くとやっと鼻を手で覆う。流石に依頼人の前でそんなことはできなかったからだ。
「大丈夫どすか?」
ジョンに小さい声で囁かれてこくり、とうなづく。麻衣も感じたようだけれど私程ではないらしくそのまま席に座った。