真っ暗な闇の音(ゴーストハント)
□血ぬられた迷宮
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全員が揃う居間に戻りながら私は寒気が止まらなかった。嫌な予感があたってしまったからかそれとも死体を久しぶりに見たからか。落ち着くように自分を落ち着かせるように深く呼吸をしながら眉を寄せてしまう。偽ディビィス博士が帰ったあと除霊は不可能、と判断した渋谷さんに私が手を上げる。
「出来ないことはない。――しかし、非常事態以外に使ってはいけないことになっている。」
「それは手の内どすか?」
「ああ、あれは……化物並みの力は持つ。ただし、幾らこの年でもまだ成長期だ。あんな化物並みの力に自分の体がついていけるとは思えない」
ため息をつく渋谷さんを一瞥しながら告げると今度は渋谷さんと麻衣、滝川さんの会話をぼんやりと聞きながらぼう、とする。キレだす麻衣を見ながら今度は肩をすくめるしかない。
「撤収の準備をする。荷物をまとめろ」
「はい所長」
撤収か。そう考えてもう終わったことを知った。けれど、終わりじゃないような気がする。まだ、何かあるような――
準備が早々に終わった私は駆け足で男部屋に入って息をつく。吃驚した様子の男性陣に「何で一人で来たんだ」と言われて怒られたけどはいはい、と流す。
「――ところで、何か嫌な予感がするんだけど。」
よっこいせ、と適当なベッドに座ると渋谷さんから視線が遣ってくる。
「どう、とかは流石に解んないけど……何か、さっきっから寒気が止まらなくて……」
もう春なのにな、と言いながら肩をすくめていると「返事をして! 真砂子――!」と聞こえて反射的に立ち上がる。
「――麻衣!」