真っ暗な闇の音(ゴーストハント)
□白い光の先に
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ジーンが戻ってきた。
へにゃへにゃと笑いながらナルを諭している様子がよく見られる。
双子とリンさんが一回帰国すると言うから送別会を開こう、と言って会場をとったのだ。
慌ただしい様子を見ながら此処数週間あたしは何だか物足りない気がした。
「なんだかなあ…」
「どうしたの? 麻衣」
ジーンがやってきてあたしの顔を覗き込む。
その綺麗な笑顔にほうわ、と意味のわからない奇声を上げてざざ、と下がると苦笑をされる。
「言ってもしょうがないんだけどね?
――誰か、あたしたちの他にいた気がするの」
「まだ寝ぼけてますの? 麻衣」
「違うってー」
「バカはほっといて早く行くぞ。」
「馬鹿言うな!」
バカも何も変人もない!
あたしは確かに誰かがいたと思っている。
外に出るとタクシーを捕まえたらしいジョンが穏やかな笑顔を浮かべながら手を振っていた。
「――え」
瞬間。ジョンの隣に女の子が見えた気がした。黒いストレートのショートヘアーに睫毛が長めな藍色の目。ボーイッシュな服。
けれど直ぐにそれは消えてしまって幻だと気づく。
何で。
誰だかわからない。
そして、何者なのかもわからない。