感情幸福論
□第9話
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言おうとして、やめた。
言っても分かるのだろうか。
いや、バカにしてるわけではなくて。
「はぁぁぁぁー…」
「まーたため息ついちょるのうー。幸せ逃げちゃうぜよって何回言ったら分かるきに」
「今言われたので二回目なんですけど」
「アハハハハ、細かいことは気にしちゃあいかんぜよ!世の中細かいことと過去を気にしてちゃあ前に進めないもんじゃき。アハハ」
“過去を気にしてちゃ前に進めない”
そうだな。俺にその言葉は今一番必要だ。
「アハハ、アハハ、あれ、わしゃあ今良いこと言った気ィするぜよ!」
「うるせぇよさっきから。少しは黙れ」
ゲシッと坂本の頭を回し蹴りする。
まだまだ若いのうーと笑いながら坂本は
去って行った。
「前に進めない…。俺の時間はあの時からずっと…」
そろそろ忘れなきゃと思って
忘れかけていた頃、
高杉が現れてしまった。
「もう少し遅く…いや、早ければよかったのかもな…」