感情幸福論

□第1話
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高杉は親と訳あって別々に暮らしている。
そのマンションの一室にピンポーンと
インターホンが鳴り響く。
彼は爆睡してるので気付くはずがない。

何度も何度も鳴るインターホン。

インターホンを鳴らしているのは銀八。

何度も何度も鳴らす。
しびれを切らした銀八はドアノブに
手をかけた。
カチャリと音がし、ドアはすんなりと
開かれた。


「ったく不用心だなぁー」


遠慮なく中に入り、リビングを見渡すと
ひどく小綺麗で、おぉっと思わず
感嘆の声をあげた。

高杉はソファーの上でぐっすり。


「なんだぁこいつ、怪我してんじゃねーか。喧嘩ですかコノヤロー」


銀八は痣を見た瞬間無性に押したくなった。
みんなはそうゆうことないだろうか。

ニヤリと笑みを浮かべた銀八はちょんっと
ふくらはぎの痣をつついてみた。
ピクッと脚が動いたが起きはしなかった。
次に捲れたシャツから見える背中の痣を
思いっきりおしてみた。


「ってぇぇ!!」


さすがに痛かったのか高杉は叫びながら
飛び起きた。
目がバッチリ合う。


「おはよう寝坊助。不良。バカ。不良バカ。さっさと起きろ。学校行くぞ」

「誰、だ…てめぇ…」

「お前の担任だ」


寝ぼけ眼の高杉は銀八を睨んだ。
「よけいなお世話だ」そう言うと
またソファーに突っ伏した。
銀八ははぁっとため息を吐きながら
高杉の両脇に手を入れ、無理矢理上半身を
起こした。
舌打ちされる。


「救急箱あるか?」

「ねぇよ」

「じゃあとりあえず着替えろ、制服に」

「ヤダ」


銀八は少々考える素振りを見せる。


「あー、じゃあ俺が着替えさせてやる。まずは脱ぐぞ」

「はぁ?」


高杉はぱちくりと目を瞬かせると同時に
高杉の服の裾に銀八の手が掛かり、
するりと胸元まで捲られた。


「わっ、お前肌白!そして細!ちゃんと食ってんのかよー」

「んなこといいから手ェはなせ!自分で着替えっから!」


やっと手がはなれ、仕方なく高杉は
気怠そうに制服に着替えた。





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