感情幸福論

□第1話
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「おー、お前学ランよく似合うじゃねぇか。……よし、学校行くぞ」


高杉はポケットにタバコとケータイを
押し込み、銀八について行った。
そこであっと銀八は声をあげ、
後に付いて来る高杉を見た。


「高杉、お前不用心すぎ。ちゃんと鍵閉めときなさい」

「…あァ、だからテメー家にいたのか」

「今更!?」


ハハッと高杉が笑い、それにつられて
銀八も笑った。
その笑顔に高杉はドキッとしてしまい、
何だ?と首を傾げた。




学校に着くと保健室に連れて行かれ
「なんで保健室?」と銀八に尋ねる。


「おめー怪我してんじゃん?それ手当てするため。…また保健医いねーじゃん」


銀八はぶつくさと文句を言いながら
いすに高杉を座らせ、そこらへんの棚を
あさっていた。


「なぁー、俺別に手当てしなくても大丈夫だぜ?いつものことだし…」

「ダーメ。俺が許さねぇ。お、あったあった!」


銀八は救急箱と湿布を持って高杉に
近付いた。


「よし、まずは脱げ」

「…はぁ?」


高杉は片眉を上げた。
なぜ脱がねばならんのだ。
銀八はそんな高杉を無視し、ほれほれと
急かす。

高杉は仕方なく学ランを脱ぎ、
赤黒いシャツも躊躇いがちに脱ぎ捨てた。


「うわーやっぱ白!…じゃなくて、痣すげぇなぁおい」


なんて言いながら湿布を貼っていく。
ヒヤリと冷たい湿布と銀八の手に
身震いする。


「よし、できた!」

「〜〜〜っ!!」


銀八はバチンッと傷を叩き、高杉は言葉に
ならない悲鳴を上げた。


「あ、悪い。もう服着て良いぜ」


銀八は高杉の頭を優しくなで、救急箱を
あさりだした。
高杉が服を着終わると銀八が顔を
近づけてき、高杉はわっと小さく叫ぶと
顔を赤らめた。


「な…なんだよ?」


銀八は うーんと唸って顔をはなした。


「せっかくきれいな顔してんのに傷付いちゃってかわいそーに」

「…アホか」


血がかわいて固まった箇所を銀八は
消毒液で拭き取っていった。


「絆創膏はいらないよな。もう血でてないし」

「あァ」


救急箱と湿布をあったところにもどすと
高杉の腕を掴み、保健室を後にした。




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