感情幸福論

□第2話
1ページ/3ページ




屋上に着くと高杉はフェンスによりかかり、
タバコを取り出した。

校庭から体育教師の松平の声が聞こえ、
そちらを向いてるといつの間にか
銀八がいなくなっていたのに気付き、
なぜか心細く、とゆうか寂しくなった。


「銀八…」


実は今日初めて銀八と話した高杉。
銀八のことなんて何も知らない。
知っていることといったら現国の担当、
めちゃくちゃな先生。
そして自分の担任。

もっと知りたいと思った。
こんなに人を知りたいと思ったのは
初めてだ。

今日は初めてのことが多いなぁと思い
笑えてきた。


「何ニヤついてんの?」


いつの間にか銀八がいて驚いたせいで
高杉は一瞬固まってしまった。


「どこ行ってたんだ?」

「校長室。高杉連れてきたって報告してきた」


そう言う銀八の手には校長の
チャームポイントであろう触角が
握られていた。
どうする気だ、それ。

校長の愚痴を言いながらフェンスに
寄りかかる銀八の横顔をつい高杉は
見とれてしまい、バッと顔をそらした。
さっきから何なんだろうか。


「なぁ、次の時間現国だから一緒に行かねぇか?」

「んー、行く」


よしよしと頭を撫でてくる銀八の手が
なんだか愛しく思えた。
なぜだろうか。相手は先生。
しかも男なのに。

高杉はこれが恋なのか?とごちゃごちゃと
考え、やめた。


授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると
同時に銀八が行くかと呟いた。
それに頷く。





次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ