感情幸福論
□第6話
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「ったく、なんで俺まで付き合わなきゃいけないんでィ」
「だって高杉さんだけじゃたよりなさそうなんだもん」
「悪かったなおい…」
「それに、訊きたいこともあったしね♪」
「訊きたいこと?」
訝しむように高杉と総悟が神威を見た。
「ここって屋上あるよね?」
こくりと総悟が頷いた。
案内しろとでも言うような笑顔。
屋上のドアを開けると空気が少々
湿っぽかった。
フェンスのほうに近づき、高杉はタバコを
吸い始めた。
「で、訊きたいことってなんでィ?」
かわいた地面に胡座をかきながら座る総悟。
神威は校庭のほうを向いていた。
高杉はその反対側。
「直球で訊くけど、高杉さんってさー、銀八先生のこと好きなのー?」
高杉はポロリと銜えていたタバコを
落としそうになった。
「なんでわかったんでィ?」
「俺の勘の良さを忘れないでよネ。まぁ、バカでもわかるほど好きオーラが出てたけど」
「…まぁ、別に隠すほどでもねぇし」
「ほぼ全員知ってるからねィ。少なからず2Z全員は」
「アハハハ、もしかして授業中に好きって言っちゃったりでもした?」
シーンと静まり返る。
神威は疑問符を浮かべながら高杉と
総悟の顔を交互に見る。
「勘が良すぎでィ。少しァ自重しろィ」
ため息混じりに呟く総悟。
高杉は終始無言だった。
「まぁ、話はそれだけだよ。…あと、」
そこで話を区切ると神威は高杉を一瞥した。
高杉は首を傾げる。
「銀八先生ってかっこいいし、強そうだよね」
嫌な汗が出てくる。
「おい、かむ…」
「高杉さん、ボーッとしてると、俺にとられちゃうぞ☆」
「………え?」
高杉と総悟は神威を凝視した。
どしたの?なんて悠長な神威の
さっきの言葉を思い出す。
「神威…テメー銀八のこと、好きに…?」
高杉がそう訊くと神威は目だけで高杉を見て
小さく微笑んだ。
心臓が、何かのし掛かったかのように
きゅっと締め付けられる。
「ま、俺にとられないようせいぜいがんばってね、高杉さん♪」
神威は踵を返し、手を振りながら
屋上から出て行ってしまった。
続く