感情幸福論

□第9話
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「おい、高杉、起きろ」


揺すってみるも起きる気配がない。
学校でどんだけ爆睡してんだ。


「目覚めのキッスでもしろってかぁ?」


まったく、手の掛かる教え子だ。
教え子…


「教え子…教え子ね…」


いきなりガッターンとゆう音がなり
ビクッとする。


「いてェ…」


机に伏せていたのにもかかわらず
寝返りでもうとうとしたのか
高杉は床にぶっ倒れてしまったようだ。


「おいおい大丈夫か?」

「ん…あぁ、あ?…銀八?」


寝ぼけ眼でこちらを見上げてくる高杉。
不覚にも可愛いと思ってしまった。
高杉の前の席の椅子を引き、
そこに跨るように座ると
高杉も自分の席に座り直した。


「みんな帰ったのか。ったく、みんな起こしてくれたっていいじゃねーかよ」

「お前が起きないのが悪いんだろ」

「そうかもなぁ…」


高杉は欠伸をしながら答え、外を見た。
その横顔がきれいで。
どこかあいつに似ていて…


「銀八…」


不意に名前を呼ばれドキッとしてしまった。


「そろそろ…ちゃんとした答えを…」


外を見ていた目は、今度は俺を
真剣な眼差しで見てくる。

こいつはたぶん男を好きになったのは
初めてだろう。
ましてや恋愛なんてこれっぽっちも。
男同士の恋愛がどんなものか
知らないはずだ。
やっぱり言ってしまおうか。
あの話を…。


「あのな、高杉……」




続く



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