短編集
□ハッピーVALENTINE
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さっきから挙動不審な高杉に銀時は
訝しむように首を傾げる。
「何かあったのか?」
心配するような声色に高杉は
焦ってしまった。
渡してはいありがとうで済む。
簡単ではないか。
それを自分に心の中で言い聞かせ、
高杉は意を決した。
銀時の隣に向かい合うように座る。
懐からそっと箱を取り出し、銀時の腕に
それを押し付けた。
「……やるよ、これ」
箱を見て目を丸くする銀時。
やっぱり野郎からチョコ貰ったって
嬉しくないよな。
なんて考えて自嘲する。
銀時は箱を受け取り、箱の中身を見た。
「これ、晋ちゃんが作ったの?」
「悪いか…」
ボソッと呟く。
顔が異様に熱い。
熱でも出たか?ハハハ。
つーかあれ、さっきから銀時が静かだ。
少々躊躇いながらもチラッと銀時を見る。
高杉はギョッとした。