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□居眠り
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いつも優等生らしく授業をまじめに受ける君が、今日は珍しく居眠りをしている。
最近生徒会の方が忙しいと言っていたから、その疲れが溜まっているのかもしれない。
今は5時限目で一番眠くなる時間だから、それも手伝っているのだろう。
ノートを取っている途中で力つきたのか、ペンを持ったまま頭だけが下がっている。
きっとノートには蛇がのたくったような跡が残っているのだろう。
授業が終わった後それを見に行って、君をからかうのも面白いかもしれない。
……それにしてもつまらない。
授業の内容もそうだが、君の顔がまったく見えない。
いつもは黒板に向かう君の真剣な顔がチラッとだけど見えるのに、今は後ろ頭しか見えない。
もし俺が君の隣の席だったら、いつもの眉間にしわの寄った不機嫌そうな顔じゃなくて、穏やかな君の寝顔を見ることができるのだろうか。
いっそ消しゴムでも投げて起こしてやろうかとも思うけど、君の憩いの時間を邪魔するのも気が引ける。
だって知っているんだ。
君はいつも自信満々だけど、その自信に見合うだけの努力をいつもしているって。
さらに俺たちの言動にいちいちつっこんでいて心休まる時間があまりないって。
なら、からかうのを止めればいいのかというと、そうはいかない。
だって君の怒った顔も可愛くて好きなんだ。
それにきっと君だって、俺たちと騒ぐのそんなに嫌いじゃないだろ?
…しょうがない、ノートなんていつもはまじめにとらないけど、後で君に見せてあげられるように今日くらいはちゃんと書いてみようかな。
fin
→あとがき