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□夢みたあとで…
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「健助殿…。」
健助を緩やかに組み敷き、囁くように呼びかける。
「道士郎…。」
道士郎のそのまっすぐな瞳に、健助は眼を逸らせないでいた。
やがて2人の顔の距離がゆっくりと縮まっていく。
「…って、ちょっと待て!何いきなり押し倒してんだよ!!」
唇が触れようかというまさにそのとき、ハッと正気を取り戻した健助は慌てて道士郎の顔を手で押し退けた。
「いや、健助殿が何やらじっとこちらを見つめておるから、ついに拙者の想いが通じたのかと…。」
違うのか?と道士郎はキョトンとして至極不思議そうな顔をしている。
「どうしたらそんな都合のいい解釈ができるのさ!あれはただ…ちょっと気になることがあって見てただけだよ!」
ここは道士郎の部屋。
折角の休日だというのに特にやることもなくヒマだったため、何となくシロで癒されようと遊びに来ていた。
シロとの触れ合いのあと通された道士郎の部屋で、とりとめもないことを二人で話したりして過ごしていたのだが、ふとあることが気になりつい道士郎の顔を見つめてしまっていたのだ。
その結果、冒頭に戻る。