献上物

□washing
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「あれ?ロイド、そのシャツなんかピンクっぽくない?」


登校途中の電車の中、隣に立つロイドの姿に違和感を覚えたジーニアスは、その違和感の正体に気付くとそう問いかけた。
学校指定の夏服は白の開襟シャツで、彼も自分と同じくそれを着ているはずなのに、なぜかロイドのは薄いピンク色をしている。


「あぁ、洗濯したら何か知んねぇけどこうなってたんだ。」

「それってもしかして、その真っ赤なTシャツも一緒に洗濯機に入れちゃったんじゃないの?」


ロイドは赤色の服をよく好んで着ており、今日とて赤のTシャツを制服の下に着込んでいる。
ちなみにそのTシャツは先日一緒に買い物に行った際ロイドが買っていたものだ。

赤など色物の代表のような服をよく着るなら、洗濯するうえでの常識も当然知っているだろうが、洗濯してそうなったとしたら一番に思い付く理由はそれなわけで。

まさかと思いつつそう問いかけたジーニアスに、さも不思議そうにキョトンとした顔でロイドは答えを返した。


「そうだけど、よくわかったな?」

「もう!色物は分けて洗濯しなきゃダメじゃないか!!常識だよ!?」


家事を一手に引き受けているジーニアスにとってそれは基本中の基本で、そんなこと考えたこともないという様子のロイドが信じられなかった。
それで今まで他の服に色がうつったりすることはなかったのだろうか。

ならば洗濯の仕方を伝授しようとジーニアスが口を開きかけるが、同じ電車に乗っていたらしいゼロスが突然ロイドに背後から抱きついたことでそれは遮られた。


「おやぁ?ピンクといえば俺様のイメージカラーでねぇの。ロイドくんてばそんなに俺様とおそろいにしたかったの?」

「ばっ///んなわけねぇだろ!ていうかこんなところでくっつくな!!」


せっかく2人で話していたのにゼロスに邪魔されたことと、“おそろい”という言葉が気に食わなくてジーニアスは途端に不機嫌になる。


「〜〜ロイド!今度は真っ青な服と制服のシャツを一緒に洗濯して!」

「何でだ?色物は分けて洗濯しろってさっきジーニアスが言ったんだろ?」


なぜ突然ジーニアスがそんなことを言うのかわからなくて、ロイドはまたもやキョトンとした。
一方ゼロスはジーニアスの考えていることがわかったのか、余裕の態度でニヤニヤと笑っている。
それが余計にジーニアスの不機嫌さに拍車をかけた。


「いいから!!(だって水色は僕のイメージカラーだもん!)」


──こんな奴にロイドは絶対渡さない!!


睨み合って火花をバチバチ散らす2人の様子にも気付かず、ロイドは頭に疑問符を浮かべるばかりだった。


fin
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