小説

□ホワイトデー2007
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「はっぴいほわいとでぇぇぇー!!!」







奇声をあげた首領パッチは

勢いのまま破天荒にタックルをかました






「お…おやびん…一体どうしました?」






頭から地面に激突した破天荒は

少し頬を染めながら腰にへばり付いた
オレンジのトゲトゲに怪我が無いか確認する







「お返しだ!!バレンタインの」



「お…おやびん…!!」



「ほれ…」







自分より大きな魚を背中の辺りから取りだし破天荒の口に押し込む







「ぐっ…もがもがっ…」







泣きながら魚を頬張る破天荒の流す涙はきっと嬉し涙に違いない






そんな光景を公園のベンチからぼんやり眺めていたビュティは

破天荒に跨がる首領パッチと目が合った







「そういえば…ビュティにもチョコ貰ったよな?」



「えっ!?」







首領パッチの浮かべる不気味な笑みに
背筋が凍る







「あ…全然気にしなくていいよ!!」



「ダメだ!!ホワイトデーは3倍返しって決まってんだぞ!!」






恐ろしい形相でこちらに突進してくる首領パッチ







「イヤァァァっっ…!!」






ビュティは固く目を瞑り

悲鳴をあげながら身構えた







「ほらよ…」



「へ…?」







目を開くと

膝の上にちょこんと正座をした首領パッチがいた





頭には真っ赤なリボンを着けて

例の如くパチ美と化した首領パッチはビュティの首に腕をまわす







「今日だけ特別…パチ美を好きにしていいわよん☆」






チュ…






わざとらしい音を立てて首領パッチはビュティの頬にキスをする







「あ゛〜ぁぁぁぁっ…!!おやびんっ…何て事を…」






頭を抱えて地面にガンガン叩き付ける破天荒






「ちょっ…何やってんの!?破天荒さん!!」



「俺もそっちが良かった!!」



「もうやめなよっ!!おデコから血が出てるよ…!!」







あまりに恐ろしい光景に
ビュティは泣きながら破天荒を止める







「じゃあ俺にもさせてくれ…」



「は…?」







ビュティの了解を得る前に

破天荒の舌が涙で濡れた彼女の頬を拭った






「あ…」






突然の事に変な声が漏れたビュティは
真っ赤になりながら口許を押さえる







「テメェェェェッッ!!デコっパチっっ…何やってんだ!?」







ビュティの悲鳴を聞いて駆け付けたヘッポコ丸の拳が破天荒に向けられるが



あっさりと交わされる






その背後からのソフトンの蹴りが破天荒を直撃し



破天荒は砂場へ吹っ飛ばされた







「ってぇ…何しやがんだグルグル頭!!」



「相変わらずタフなヤツだ…」



「コロス…」



「貴様…ビュティを汚した罪はバビロンの裁きをもっても償えんぞ…よって死ね!!」







激しいバトルが繰り広げられる中

原因の筈のビュティは地面にへたりこみ





紅くなった頬に手を当てる







「大丈夫?」







指を加えたボーボボがビュティの顔を覗きこんだ






「ボぉ…ボボ…」



「ほら…」






差し伸べられるボーボボの大きな手に縋るように
ビュティはフラフラと立ち上がった











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