小説

□惚れ薬
1ページ/11ページ










そう





私が馬鹿だった







「惚れ薬…特別お前にやるよ」







アナタに相談した私が馬鹿だったの
















破天荒の部屋を出たビュティは
一人溜め息を吐く





一番恋愛経験が豊富そうな彼に
相談を持ち掛けた結果が







「惚れ薬って…」







こんな物理的な答えが返って来るとは思わなかった





しかし半信半疑ながらも
彼女の手にはしっかりと破天荒から与えられた瓶が握られている







「ダメダメっ…こんなのに頼っちゃダメだよね」







可愛らしい瓶の中で揺れる淡い桃色の液体を睨み付け

恋する少女は次のカウンセラーの元へ足を向けた















「ボーボボ…ちょっといい?」






扉越しに声をかけると

ああ

と彼らしいぶっきらぼうな返事が返ってきた





ビュティが扉を開けると

そこには目的の人物である巨体のアフロがウェディングドレスに身を包み
スタイルの良いグルグル頭と模擬挙式を挙げていた







「えぇぇぇっ!?何やってんのぉ!?」



「ビュティ男さんっっ!!迎えにきてくれたのね…ボボ美嬉しいっ」







嬉しそうに頬を染める花嫁ボーボボは
こちらに駆け出そうとしたが

咄嗟に反応した花婿ソフトンにドレスの裾を踏んづけられ
勢い良く床と衝突した







「もう…ソフトンさんったら独占欲が強いんだからっ」







恥かしそうに身を捩るボーボボは正直キモチ悪い

ビュティは呆れ果て
突っ込む気すら失せてしまった







「そんな事より何か用があったんじゃないのか?」







口を開いたのは実の兄であるソフトンで
当初の目的を思い出したビュティは俄かに頬を染める





そういえば自分は今まででこの人に兄妹らしい相談を持ち掛けた事があっただろうか







「えっと…」











という単語が引っ掛かってしまい
何だか色恋話を持ち出すのは躊われてしまう







「んーん…別に急ぎの用じゃないからさ、2人共続きやりなよ」



「おい…ビュティ」







やはり言ってしまってはマズい気がする







「邪魔してゴメンねっ」







部屋を飛び出したビュティは
逃げるように自分の部屋まで全力疾走した
















.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ