尸魂界の25人

□帝王紫(ていおうむらさき)
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「ならぬ。破面側の戦闘準備が整っておると判明した以上、日番谷先遣隊は全名、即時帰還し尸魂界の守護についてもらう」

狭い部屋の空気がふる、と揺らいだ気配を感じた。
それはうっすら想像出来ていた言葉だったが、いざ言われると怒りの感情が湧いてくる。
けれど、それを感情のまま表現してしまうほど餓鬼ではない。そして、それを言動に表さないで平気でいられるほど歳を食ってしまった。




「では、おぬしらは今日から護廷十三隊員として恥じぬように任務を全うし---」




いつか、真新しい死覇装の匂いの中で聞いた言葉がよみがえる。
当たり障りのない、教本に載っている言葉をそのまま読んだようで、ただただ眠かった。
大きく欠伸をして、横にいた真面目そうな隊員に睨まれたのを覚えている。

そして、一護のときの“顔を傷つけないため”の対応の数々も思い出す。




「一人の命と世界の全て、秤に掛ける迄も無い」

「………」

画面の向こうには、俺が現世の人間として生きていた頃。
ほとんど覚えていないが、確かに感じていた事実と感情。
俺が“こうはなりたくない”と嫌悪していた、大人の姿がそこにあった。




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