文倉庫
□カボチャプリン
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10月31日。
退屈な4限目も終わり、
「ねー、購買行こうよ」
「おー、俺もパン欲しい。阿部は?」
「行く。弁当だけじゃ足りねー」
「だよなあ」
空っぽの腹をかかえ購買に行くと、やはりというか、学食やらパンやらを求める生徒達でごった返していた。
それでもどうにか目当ての物を手に入れると、水谷が何やらじいっと見つめていた。
「…どした?」
俺の言葉に水谷はふっと振り向き、笑顔で
「花井ー、トリックオアトリート!」
そうぬかしやがった。
「はあ?」
「今日はハロウィンだろ?」
「あァ、アメならあるけど」
「え!?花井いつもはそんなん持ってないじゃん!」
「あすかとはるかが持って行け、ってうるさかったんだよ」
ごそごそとポケットを探っていると、
「アメじゃなくてプリンが欲しい!」
「プリン限定かよ!」
「いーじゃん買って買って!」
こーいう行事はちゃんと参加しなきゃ、とそれらしいことを言ってごねる水谷を見ていると、悪戯心をくすぐられた。
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