Short Story

□愛するの感情、平行線に。
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「どうして、」

「どうしてでしょうね」

「…ああ、成程。」
「もう、お終いってことね。」

「物分りが良くて助かります。」

「だって骸、貴方。Addioって言ったもの。」

ArrivederciではなくAddioと。
また会いましょうではなくさようなら、と。

別に特別な関係だったわけではない。
けれど「仲間」とは違う「友人」だったのは確かで。

貴方達が企てるものの真意は知らない、
けれどきっと物騒なのね、「仲間」ではない私の知らない世界のこと。

貴方のそういう優しさ、大嫌いだけど、本当は大好きよ。

本当は引き止めたいけど、お終いになんてしたくないけど、
それは私の我儘だから。決して許されないわ。

「友人」以外の何者でもない私には、貴方を見送ること以外の権利なんてないの。




「これきり、ね。」

「ええ。」

「なかなか楽しかったわ、短い間だったけど。」
「Grazie」

「クフフ…僕もですよ。」
「Grazie a te」

「仲間」でなく唯一の「友人」だった少女。
彼女と僕は住む世界が違いすぎた。

これから僕がすることの具体的なことや真意は兎も角、
決して自分がかかわりを持っていいことではないと理解している彼女。

物分りがよくて本当に助かりますね。

本当は彼女を手放したくない。僕のことを引き止めて欲しい。
彼女が物分りの悪い人間だったのなら、どれだけ良かったことか。

「友人」なんて鎖はあまりに脆過ぎて、意味を成さない。



もうお互いに姿も、声も届かなくなってから呟いた言葉。
“愛していました”
(なんて今更)
(同じ想いだとは知らずに平行線の僕ら。)
(すれ違いはいつまでも。)

せめて「友人」でなく「仲間」であれば結末は兎も角一緒にいられたのに。
けれど「友人」だからこそ未来を狂わさずに済むのだ。




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※拍手レス日記再録、微編集。
あれ思っていたよりはまともだ。暗いけどね!
原作黒曜篇、並盛襲撃開始直前な骸さん夢。
さて、駄文読破感謝!名前変換ナシですみませ…!
2007/08/05 遥姫(侑慧遥槻)

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