バカップル30題

□05.聖夜
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12月23日。
俺の大切な人、緑川が買い物に行くようだ。
俺は緑川が気になって気になって、何を買いに行くのか訊いてみた。
「みーどーりーかーわ♪」
「ヒャァァァッって、ヒロトか…」
とてもビックリしたようだ。
俺は構わず続けた。
「何買いに行くの?」
緑川は答えづらそうだったが、しぶしぶ答えてくれた。
「んとね、マフラー。寒くなってきたしね。で、もう行っていいよね?」な、なんだ。
マフラーか。
避妊具とかローターだったらどうしようかとry

緑川を見送った後、俺はあることを思い出した。


――そういや明日は、クリスマスイブか――



おひさま園では、毎年クリスマス会がある。
なかでも、プレゼント交換は一大事だ。
一人一人がプレゼントを用意して、交換しあうのだ。
プレゼントは、父さんがくれる箱の中に匿名でいれるから、誰のかはわからない。
おそらく、緑川はプレゼントを買いに行ったのだろう。
てか緑川のプレゼントマフラーって分かっちゃったよ。
俺?
俺はもう11月中に用意しておいたよ。
だから忘れてたんだ☆


そして当日。
料理(姉さん手作りローストチキン)やゲーム(ビンゴ大会。一位は風介だった。ビリは晴矢。)、そしてケーキを堪能したあと、お待ちかねのプレゼント交換が始まった。
『♪ジングルベールジングルベール鈴がー鳴るー♪』
『♪きーよしーこーの夜ー♪』
定番のクリスマスソングに合わせてプレゼントを回す。
「はい、ストップ!」
サンタコスをした姉さんが明るく言った。
「みんな、プレゼントを開けていいわよ。」
みんな、一斉に箱を開ける。
「うわー、なんだこのアイス型キーホルダー!」
「私のセンスが光っているだろう?というか誰なのだろう私に真っ赤なハンカチをよこした汚れた奴は。」
「俺だよ。汚れた奴で悪かったな。てかアイスお前かよ!!」
「君と交換したということか…?」
「悪かったな。」
「別にイヤじゃない。」

(晴矢と風介って仲いいよなぁ。)

「ねぇねぇ、ヒロト。俺、凄く可愛いの来たよ!!」
緑川だ。
てか自分が可愛いの分かってるのかな?
「どんなの?」
「んとね、緑色の手袋だよ。手編みっぽい。誰からかな?」
「俺のだよ!!」
「え?ヒロトの…?やったぁっ!ねぇ、ヒロトは何来たの?」
そんな俺の手にあるのは

愛しい人の
マフラー。

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