Dream心霊探偵八雲

□黒い影
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授業も終わり、いつものように小沢晴香は『映画同好会』の部室に入った。

「やぁ…、ん?」

相変わらず、机にうつぶせて寒そうに毛布にくるまって寝ている斉藤八雲がいた。

「ZZz…」

声に出しては言えないが、寝顔がすごく可愛いい。

「折角、昨日オープンしたケーキ屋さんでプリン買ってきたのに〜」

買ったプリンの箱を机の上に置き、無防備に寝ている八雲にアレをしようと、そっと体に近寄った。

「…寝ているからと、襲おうとするのはよくないと思うが?」

「八雲君っ!!」

突然、目を開けた八雲に吃驚して後ずさってしまった。

「脇腹を突こうとするな。君が入って来た時から起きている。」

「あはははは…、プリン食べる?」

箱から付属のスプーンの1つを八雲に渡した。
彼はそれを受け取るとジーッっと中身のプリンを見つめた。

「またお昼を抜いたんでしょー!」

「僕の勝手だ。」

何とも微笑ましい。
プリンも受け取ると顔には出さないが、美味しそうに食べている。

「後で、食べ物を持ってくるから」

晴香はココアを入れ始めた。
ポットのお湯をカップに注ぐ。

「で、今日のはなんだ?」

「えっ!?」

思わずお湯をこぼしてしまった。

「トラブルを持って来るのが君だ。あるなら言え。」

なんか、機嫌が良い…。
これもプリンのおかげ?

「うん、私の友達がね…」

こうして奏と葵太が体験した話を伝えた。

「…と言うことなの。詳しくは知らないから今度呼んでくるよ」

八雲はふぅんと息を吐き、プリンを再び食べ初めた。

今日はほんとにお腹すいてたんだと思いつつ、優しいことに感心した。
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