Corpse Party −BR−

□Corpse Party −BR−2
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あゆみも持ち直し、再度足を進める3人はある教室の前で血に塗れた人骨を見た。
それはあまりにも凄惨なもので。

あゆみは胃からせり上がってくるものを必死に堪える。
零奈は平然とその遺骸を調べ出す。
良樹はあゆみの視界を遮るように彼女の前に立った。


「なんだ、これ?」


ふと良樹が落ちていた一枚の紙を拾い上げ、そして書かれていたものを読んだ時、嫌な顔をして紙を投げ捨てた。

零奈が今度それを拾い上げた。
良樹が制止するもお構いなしにフードの隙間からそれを読んだ零奈は表情一つ変えずにビリビリに破いた。

突然の行動に良樹もあゆみも目を丸くする。
もはや繋げる事すら不可能なほど細かく千切ったそれを廊下に適当にばらまく。


「あれは残しておいたらいけない」


淡々と、しかし忌々しいとでも言わんばかりの声色でそう吐き捨て、すぐ傍にあった扉を潜る。
良樹とあゆみも零奈の後を追って中に入った。

中は教室と呼ぶには気味の悪い造りになっている。


「な、なんだこの部屋…教室の形してねぇな…」


良樹が呟いた時、突然あゆみが頭を抑えて座り込んでしまった。


「おい、篠崎…」

「頭が…割れそう…!」

「マジか…おい大丈夫かよ…」


尋常ではない苦しみ方に良樹が表情を変える。
ふと零奈があゆみの肩に手を添えた。


「…あなたは随分と影響を受けてしまう体質なのね…」

「え…?」

「霧沢…?」


すぅ、と声に怜悧さが混じった零奈に良樹とあゆみは困惑した。
ちょっと待っててと零奈はあゆみから離れ教室の奥へと歩いていく。


「ここ…駄目……霧沢さん!」


あゆみが苦しみながら零奈に声を張るが、彼女は振り向かない。
しゅっと鋭い音と共に鞘から刀が抜かれた。


「かっ…刀ぁ!?」


良樹が素っ頓狂な声をあげた。
飾りだと思ったのだろうか。

こつんこつんと零奈は奥へ奥へと歩を進めていく。
その時、何か青白い人影が姿を現した。
それは小学生くらいの少年。

生気のない目でただ正面を見ている。

気付いた良樹とあゆみが声を上げる。


「駄目…絶対、目あわしちゃ駄目!!」

「霧沢っ!!」


あゆみと良樹が叫ぶが、零奈はお構いなしだった。
なんと幽霊の真正面に立ったのだ。
幽霊と目が合う。
一瞬のうちに体の自由を奪われた。

カッと目を見開いた少年は舌足らずに何かを零奈に言い、そして見せるように口を大きく開いた。

少年には…舌がなかった。

それを見ても零奈は表情を変えなかった。
否、むしろ陶器の様に冷たいものに変わっていた。
その目は相手を蔑むような、嘲笑するようなものだ。


「舐めるなガキが」


縫いとめられたように動かない体はあまりにもあっさりと解放された。
抜いた刀を頭上にひらりと掲げると、一切の迷いなく少年の頭に振り下ろす。

少年は姿を消した。


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