短編

□曲がりくねった道の先は 〈後編〉
1ページ/6ページ


京香はゆっくりと道を歩いていた。
部活に行く気もせず、悪いとは思いながらもそのまま帰ることにしたのだ。




無意識のうちだったのかもしれない。
気づけば京香は病院にいた。
そんな自分に驚きながらも足は病院の中へと向かっていく。


「剣城さん?」


後ろからかけられた声に反射的に振り向いた。
彼を見た途端に止まっていた涙が溢れてくる。
もう、どうすればいいのか解らなかった。


「あ、めみや……っ」

「……大丈夫。こっち来て」


太陽は京香の手を引っ張り自分の病室へと連れていく。
彼女が泣きやむのを静かに待つ。
泣いている間、ずっと京香は天馬の名を呼び、ごめんなさいと言っていた。

太陽はシュウと同じような友達であり相談相手である。京香が優一のお見舞いに来て顔を合わせる度に仲が良くなっていったのだ。
お見舞いにはたまにシュウも一緒に来るためシュウと太陽の二人で京香の相談を受けたこともあった。


「落ち着いた?」

「……ん。ごめん…」

「謝らなくていいよ。剣城さんは何にも悪くないから」


学校で何があったのか大体は予想がついていた。
このまま自分の想いを伝えてもいいだろうかと太陽は考える。今の彼女に想いを伝えれば欲しい返答を貰う事ができるかもしれない。
ここまで彼女を悲しませる天馬に怒りを覚えつつ、それを利用しようとしている自分に呆れながら太陽は京香の頭を撫でた。


「どうする?優一さんのとこ行く?」

「…いや、やめとく。こんな顔見せたら変に心配させちゃうだろ」


京香の目元は腫れていて赤くなっていた。心配性の優一に見せれば理由を聞いてくるだろう。
もっと頼ってくれたらいいのにと太陽は胸が締め付けられる感覚がした。


,
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ