捧げもの
□幸せにしてくれたのは君
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君が笑えば幸せです。
「無防備すぎる、よなぁ……」
「「「同感です」」」
三国の一言に全員が同意する。
彼らの目の前にいるのは、ソファに座りながら安らかな寝顔を見せている京香だった。
「とりあえず写真撮っとこう」
「俺も……」
フラッシュを消し、パシャリと携帯のシャッター音が鳴る。
ほぼ部員全員が携帯を構えていた。
何も知らない者が見ればただの変質者どもである。
写真を大切に保存しておくだけで、特に悪用しようという考えを持つ者など皆無だが。
「やっぱり年相応の寝顔って感じですよね」
「フィフスセクターの奴らぶっ殺していい?」
「気持ちは分かるが我慢しろ、霧野」
スゥスゥと寝息を立てている京香の顔には悲しみやら苦しみなどといった感情はまったく見て取れない。
それが余計にフィフスセクターに対する彼らの怒りを煽るのだ。
誰だって大切な人を傷つけられたら怒りもするし、悲しくもなるだろう。
それとまったく同じ事。
良い夢でも見ているのか、京香が小さくほほ笑んだ。
「……俺、今すごく幸せです」
「奇遇だね狩屋。俺もだよ」
他の部員だって幸せだった。
ほほ笑み一つでこんなにも幸せな気持ちになる。
「ありがとう」
神童が部員全員の気持ちを代弁した。
傍にいてくれる、笑っていてくれるだけで心が安らぐ。
こんなにも幸せにしてくれて、ありがとう。
総括すると、みんな京香のことが大好きだということ。
おわり