捧げもの
□プロポーズ+間接キス=無意識
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昼休みは部活を除く唯一の息抜きができる時間だ。ほとんどの生徒がこの時間を心待ちにしていることだろう。
恋人と過ごせるならば尚更のこと。
「京香!お待たせー」
「遅ぇよバカ」
天馬はお弁当を持ちながら京香の隣に座る。
蓋をあけてみれば、小さいハンバーグやポテトサラダなどがはいっていた。
「秋さんが作ったんだろ?それ」
「当たり前じゃん!俺が料理作れると思う?」
「全然」
京香は自分のお弁当にはいっているミートボールを取り口に運ぶ。
おかずの中でも一番おいしそうな卵焼きが目にとまり、天馬は少しのイタズラを思いついた。
「卵焼きもーらい!」
「あっ!」
「おいしい〜〜。毎日食べたい味!」
バーカと悪態をつく京香だが、その頬はほんのり赤く染まっている。
仕返しでもしてやろうと天馬のリンゴジュースを飲みほした。
「あ〜〜〜、俺の!」
「お前だって弁当から卵焼き盗んだだろ」
天馬は頬を膨らませ怒ったように見せかける。
小さい子供のような仕草に京香はフッと笑った。
それにつられて天馬も笑う。
「早くサッカーやりたいなー。勉強ばっかじゃ体固まっちゃうよ」
「もう少しで部活だろ。それまで我慢しろ」
「じゃあ京香の卵焼きもう一個!」
「もうやらねぇ!」
ふざけ合って笑い合ってじゃれあって、その全てが無意識なのだから困ったものである。
卵焼きは京香の手作りで、リンゴジュースは天馬の飲みかけだということに、二人が気づくのはもう少し先のことになる。
おわり