頂きもの
□うるし様から
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契約、
俺たち2人が永久に一緒にいること。
俺たち2人が喧嘩をしてもまた元通りになること。
貴方が困っているなら俺は一……
〇 〇 〇
ある日、学校でのこと。
京香が倒れて、保健室にいると聞きつけた俺は急いで保健室に向かった。
途中、すれ違った先生に走るなと怒られたが気にしない。だって俺の恋人である京香が倒れたなんて、俺が行かないで誰が行く!?
「京香!!」
「?……、天馬……!」
保健室のドアを開けると、病院同様鼻につく独特の匂いがする。京香は、その保健室のベッドの上に座っていた。
「どうしたの!?何で倒れたの…っ?」
「ぁ…っ……え…」
俺が来て相当驚いたのか綺麗な黄色の瞳がきょろきょろと動く。
「…」
「……貧血。……鉄分を採って、安静にしろってさ」
「…そ、か」
そう言うと京香は顔を少し赤らめ、俯いてしまった。…あぁ、そういうことか、と俺は察した。
「はぁ…。もう、心配したよ…?」
「ごめん…。ありがとう。もう大丈……っ」
「わ、京香!」
立ち上がろうとした京香はふらり、と横に倒れそうになる所を俺が支えた。
やはりまだ頭が正常に働いていないのだろう。今は無理に体を動かすと返って悪くなる。
「今は休んで。無理しちゃダメだよ」
「いや……、荷物…」
「荷物?」
「念のため早退しろって…。…剣城さんのことだし、無理しそうだからだって…」
先生、ごもっともです。
現に今無理をしています。
「そっか……。」
ん…?
待てよ、まだ授業が残ってる。京香は早退。
つまり、京香のいない授業をこれから受けなくちゃいけない。そんなの、いつもでも長い授業が更に長く感じるじゃないか!
京香より運よく後ろの席だった俺はいつも黒板ではなく京香を見つめている。眼鏡をかけてキリッ、としている京香はとってもかわいくてかっこいい。その京香がいないなんて俺の授業じゃない!
「京香!俺が京香の家まで送るよ!」
「…はぁ!?お前、授業残ってるんだろ?」
「京香のいない授業は俺の授業じゃない!」
「お前は授業をなんだと思ってるんだ!」
「とりあえずほらっ!」
「きゃっ…!」
京香をお姫様抱っこして、京香の荷物を取りに行く為、1年の教室に向かった。周りから黄色い声がしたが、そんなの気にしない。途中、京香を見ると顔を真っ赤させて、でも落ちるまいと必死に俺の服を握っていた。
「荷物も取った。よし!後は帰るだけだね!」
「え、ま…まさか……」
「出発進行!!」
「バカっ!公共の場だぞっ!?下ろせ…っ!」
「嫌だね!だって京香と付き合う時、約束したもん」
「?」
約束、って言うか、俺の心得みたいなの。
「貴方が困っているなら俺は、必ず傍にいます。」
「…天馬……」
「契約」
「……バカ」
バカ、って言いながらも真っ赤に顔を染めて、説得力があまりなかった。
「ねぇ、京香」
「?」
貴方に愛が足りないと体が嘆いているのならば
「愛してる」
沢山の愛を貴方に捧げましょう。
「…ありがとう」
それで貴方が笑顔になるならば、私はそれで充分です。