頂きもの

□シエン様から
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「うッ!?」

「何だテメ…ぅがッ?!」


 身を固くして目を瞑っていたが、予想していた痛みと衝撃が来ず、代わりに短い男の悲鳴がいくつか聞こえた。


「何か音がすると思えば…。自分たちよりも小さい子供によってたかって、何をしているんだ。」


 聞いたことのある声が聞こえて、剣城はそっと目を開けた。


「豪、炎寺…さん…?」


 そこには、豪炎寺がいた。剣城は驚きの声をあげたが、どうやら聞こえていないようだ。


「あぁ?誰だテメェは?!」

「誰だか知らねェがそいつもやっちまえ!!」

「…大人げない奴らだな。周りをよく見ろ。」

「あぁ?!…なッ」


 見ると、細い路地の前にも後ろにも、近所の人たちが集まって来ていた。


「お巡りさん、こっちです!!ここですここ!!」

「えーどちらですか?」


 どうやら近所のおばさんが警察を呼んできたらしい。


「うわッやべえぞ、ズラかれッ!」


 一斉に不良たちが逃げ出す。が。


「そうはいかないぞ、こら待て、逃がさん!」

「はいはい、お巡りさん!この人たちですよ!」


 集まって来ていた近所の人たちに邪魔をされ、すぐに警察の前に突き出された。


「はあ…また君たちか。懲りないね、何度目だい?さ、署に来てもらうよ。」


 警察の人があきれたように言う。どうやら、何度も暴力事件を起こしてきた不良たちらしい。

 結局そのまま連行されていった。あまりにあっけなくて、薄く開いたままの口がふさがらない。


「…よし。剣城、大丈夫か?」

「えっ、あ、あぁ…はい…。」


 急に話しかけられて、一瞬対応が遅れた。


「いや、その顔は大丈夫って顔じゃないな。怪我もひどい。手当てをしなくては。」

「いやあの…自分でやりま」

「ほーんとにひどいけがだねぇ、よく一人で耐えたもんだ。手当てするんなら、アタシんとこの店の奥が空いてるからおいでな!そっちの小さい僕も大変だったね、ほら!!」


 警察の人を呼んできたおばさんが笑顔で言う。


「あの、だから…大丈夫で」

「ありがとうございます。怪我の手当ては俺がやりますので。」

「そうかい、じゃあ救急箱用意するよ!!」

「っ、豪炎寺さんまで…。」


 おばさんも豪炎寺さんも、どんどん話を進めていく。


「あのっ」

「遠慮するな、剣城。」

「……。」


 大丈夫だと言おうとしたが、豪炎寺さんがそう言って笑う。あまりにもニッコリ笑うから、思わず何も言えなくなってしまった。





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