頂きもの
□シエン様から
2ページ/3ページ
「うッ!?」
「何だテメ…ぅがッ?!」
身を固くして目を瞑っていたが、予想していた痛みと衝撃が来ず、代わりに短い男の悲鳴がいくつか聞こえた。
「何か音がすると思えば…。自分たちよりも小さい子供によってたかって、何をしているんだ。」
聞いたことのある声が聞こえて、剣城はそっと目を開けた。
「豪、炎寺…さん…?」
そこには、豪炎寺がいた。剣城は驚きの声をあげたが、どうやら聞こえていないようだ。
「あぁ?誰だテメェは?!」
「誰だか知らねェがそいつもやっちまえ!!」
「…大人げない奴らだな。周りをよく見ろ。」
「あぁ?!…なッ」
見ると、細い路地の前にも後ろにも、近所の人たちが集まって来ていた。
「お巡りさん、こっちです!!ここですここ!!」
「えーどちらですか?」
どうやら近所のおばさんが警察を呼んできたらしい。
「うわッやべえぞ、ズラかれッ!」
一斉に不良たちが逃げ出す。が。
「そうはいかないぞ、こら待て、逃がさん!」
「はいはい、お巡りさん!この人たちですよ!」
集まって来ていた近所の人たちに邪魔をされ、すぐに警察の前に突き出された。
「はあ…また君たちか。懲りないね、何度目だい?さ、署に来てもらうよ。」
警察の人があきれたように言う。どうやら、何度も暴力事件を起こしてきた不良たちらしい。
結局そのまま連行されていった。あまりにあっけなくて、薄く開いたままの口がふさがらない。
「…よし。剣城、大丈夫か?」
「えっ、あ、あぁ…はい…。」
急に話しかけられて、一瞬対応が遅れた。
「いや、その顔は大丈夫って顔じゃないな。怪我もひどい。手当てをしなくては。」
「いやあの…自分でやりま」
「ほーんとにひどいけがだねぇ、よく一人で耐えたもんだ。手当てするんなら、アタシんとこの店の奥が空いてるからおいでな!そっちの小さい僕も大変だったね、ほら!!」
警察の人を呼んできたおばさんが笑顔で言う。
「あの、だから…大丈夫で」
「ありがとうございます。怪我の手当ては俺がやりますので。」
「そうかい、じゃあ救急箱用意するよ!!」
「っ、豪炎寺さんまで…。」
おばさんも豪炎寺さんも、どんどん話を進めていく。
「あのっ」
「遠慮するな、剣城。」
「……。」
大丈夫だと言おうとしたが、豪炎寺さんがそう言って笑う。あまりにもニッコリ笑うから、思わず何も言えなくなってしまった。
→