決意を決めた自分は何。
□03...「……おいちゃんのこと、本当に何でも分かるんだねえ」
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『えーと、この度!粟楠会に入れて貰い…!本当に嬉しい限りです!』
「そんな嬉しいのか」
『そりゃあね!何もやってないのに入れてもらえるなんて…!』
「やってくれたさ。俺たちに笑顔をくれたよ。…な?」
『…っもう幹禰さんは何でそんなに口が達者…!!』
「は?」
「一孤ちゃんおめでとう」
『あ、赤林!っ//』
「ん?何で顔真っ赤?」
『な、何でも…っ』
「赤林と一緒の幹部になれて嬉しいんだとよ」
『ちょっ!!』
「へえ?そうなんだ?」
『ち、違う!違うのおおお!』
「一孤うるせぇ」
幹部。
そう、粟楠会の幹部になれた。
ほんっと嬉しい!
あーマジ嬉しい!
もう死にそう!//
「あ、んじゃ、俺行くから」
「へい、専務」
『ばいばあーい……って、は!?』
ドアを閉める瞬間、幹禰さんが笑ったような…
つか、は!?
赤林と2人!?
ぬぁんだって!?
「…ふー、それにしても。粟楠に入るなんてね?」
『え…まあね。幹禰さんに助けてもらった身だし』
「ふーん……」
『……そおゆう赤林は?何で入ったの?』
「ん?あぁ、好き嫌いの融通が利くからだよ」
『……何の好き嫌い?』
「薬だよ。ヤク」
『……前の組に抜けたのも、そのせい?』
「…あ?」
『私、知ってるの。ごめん』
えーと、何で私こんなこと言ってるのかな?
穏やかな雰囲気ブチ壊しじゃん。
赤林は、ソファに座ると、一見人が変わったように私を睨む。
あー好きな人に睨まれるってホント、哀しいねぇ。
哀しい。
私は、苦笑いをすると、煙草を取り出し火をつけた。
「……一孤ちゃん?」
『うん』
「………前から幹禰さんから聞いてたよ。一孤ちゃんは何でも知ってるって」
赤林さんも苦笑いすると、サングラスを外し、言った。
「ソレって、ホント?」
あー痛いトコをつくねえ。
私の好きな人は。
『…うーん、まあ10年後のことは分からないけどね、大体は分かるんじゃないかな』
「俺の、昔のことも?」
『……うん』
「俺が、惚れた人も?」
『……うん』
「俺が、組長を殺したことも?」
それは、「うん」とは言えない質問だった。
『違う…それは違う。赤林は殺してない。殺したのは男の子』
「その男の子ってのは俺じゃないのかい?」
『違う…赤林はそれを見逃して…』
「…見逃して?」
『……俺を恨めよ…って、呟いた…の』
「…は?」
ポカンとする赤林の顔。
え?と、私も唖然とする。
え?何か可笑しなこと言った?
「…」
『…』
「はっ…はははははは!」
『っ…へ!?』
在ろうことか、赤林は笑い出した。
え?何?何?
私は混乱してると、赤林が笑いながら言った。
「ははっ……一孤ちゃん、格好いい言葉言うと思ったらそんな事かい。ストーカーチックだねえ」
『すと…っ!?ち、違う!』
「ははは、そんな独り言も聞いてるとはねぇ…ははっストーカーちゃん?」
『ストーカーじゃない!違うよっ!ゆ、夢で…!』
「はいはい、らしくねぇこと言うんじゃねぇの。さ、子供は、ココアでも飲んで、テレビ見なさんな」
『……っ』
馬鹿にされている。
私は、煙草を捨てると、拳を強く握り、下を向き、言った。
『……赤林、 泣いてんじゃん… 』
「…は?泣いてる?何言ってんだい、俺は泣いてねぇよ。そんなシーン、あった?」
なかった。
確かになかった。
でも、私は分かる。
赤林は心でずっと泣いてるってことを。
『杏里のお母さん…いや、切り裂き魔を助けれなくて……ずっと悔しくて。自分は無力だって…思ってて…っいつか、地獄に落ちることもなく、善人となることもなく…境界線上を漂い続けたならば…いつかまた、あのっ…あの…切り裂き魔に会えるんじゃないかって…っ…思って……思って…』
「…もういいよ、一孤ちゃん」
上手く言葉にならなかった。
私が言いたいことは、上手く伝わらなかったけど、赤林は分かったらしい。
ソファから立ち上がり、泣いている私を抱きしめると、背中を優しく叩いた。
「……おいちゃんのこと、本当に何でも分かるんだねえ」
『………っ…だって…』
「だって?」
『………、私、赤林のこと…大好きなんだもん…!」
「……へ」
『……ん?あ…』
言ってしまった。
涙なんか忘れて、私は顔が真っ赤になった。
熱が上昇。
やばいやばいやばい。
赤林は、笑いを落とすと、強く抱きしめた。
「そうかい。おいちゃんは愛されてるねえ」
『ちょ、ち、ちが』
「違うのかい?大好きなんだろ?」
『…ひっあ、あれは、言葉のあやで…っ』
「まぁそんな照れなくていいよ。一孤ちゃんは可愛いねぇ」
『う、うるさい!』
「おいオメェ等、これ……て、何やってんだ」
『…や、青崎くん…!?』
「見りゃ分かるでしょ、愛し合ってるんですよ」
「……」
『ちょ、青崎くんだよね!?』
「……あぁ」
『何か引いてない!?声がいつもより低い!』
「いつも低いでしょ。…ねーねー聞いてよ青崎の旦那。一孤ちゃんがねー」
『ちょ、言わないでよ!?』
「いいじゃん。言って減るもんじゃないし」
『減る減る絶対に減るううううう!』
「…付き合いきれねぇ…一孤、これ頼むな」
『え!?み、見えない!』
「一孤ちゃん小さいもんねー」
『うるさいっての!』
「…仲いいな、オメェ等…」
そうして、gdgdして終わった。
だけど今日はイイ1日だった…!!!bbb