novel
□運命。
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分かってた。
これだけは逃れられないって。
だけど…だけど…っ
「やっぱり…無理だよ…っ」
僕はその場に崩れ落ちる。
目の前にはギラヒム。
全身を漆黒の鎧で覆ったギラヒムが立っている。
「リンク…」
ゆっくりとギラヒムが近寄ってくる。
「ゃだ…戦いたくない…っ」
「……戦わなきゃいけないんだ…俺達は…」
自分でも…分かってる。
だけど体がいうこと聞かない。
「…ギラヒムは…何とも思ってないんだ…」
「そんな事ない。俺だって…」
「ぅそだ…っ」
自分の感情もコントロールできない。
「うそに決まってる…っ。だって平気そうじゃんか…」
結局は僕だけが…こんなに取り乱して、泣いて。
いつも僕だけ…
「平気なわけ…ないだろっ」
珍しくギラヒムが声を荒げて言ったので顔をあげる。
「俺だって…リンクとは戦いたくない。傷つけたくないんだっ。でも…敵同士な俺達は…戦わないといけないんだ。お互いの願いを叶えるために…」
そのとき、気がついた。
ギラヒムは…もぅとっくに心の整理ができていたんだ、と…。
いつまでも一緒に居られない現実を…受け止めていたんだ。
「……ぁ…」
何か話そうとしたけど、話す前にギラヒムが抱きしめてきた。
「どんな状況でも、俺はリンクを愛してるからな。たとえ俺が…滅んだとしても」
優しい声色で言ってくれた。
その声のせいか、僕の心は少し落ち着いた。
「……僕も……」
ギラヒムが聞き取れるくらいの小さな声で答える。
「ずっとずっと…大好き…」
暫く見つめ合ったあと、キスする。
多分これが…最後のキス。
ずっとこうしていたいけど…それは叶わない。
唇を離して僕は立ち上がる。
つらい…けどこれが現実。
いつまでもうじうじ引きずっても仕方がない。
「出会えてよかったよ、リンク。…今までありがとう」
「……こちらこそ…ありがとう。ギラヒム」
「「さよなら」」
お別れの言葉を交わす。
そして
僕達の
最後の戦いが始まった。
Fin.
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