空を翔るツバサ
□1.ツバサにようこそ!
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今から二十年ほど前、五つの大きな大陸を持つ惑星に新たな生命体が現れた。
虫のような外見の奴らは空からやってきて、特殊な光線で人間を、建物を――全てを焼き払った。
人間はヤツらに『トロイ』の名をつけた。
今もなお、戦いは続き、数年ほど前からその激戦区は、科学文明が発達した第三大陸に移っていた。
×Flight1 ツバサにようこそ!×
時刻は昼の十二時二十三分。
僕は空き教室でノートパソコンを見ていた。
窓の外には昼休みの人混みを器用に避けて走り回る影。
ボーっとそれを見ていると、ノイズ音と共にパソコンから声が流れてきた。
『拓海(たくみ)、東は人が多すぎて使えないぞ。どうする?』
窓から見えた走り回る人影――竜騎(りゅうき)の声だ。
僕は少し考えてから、
「上からは?虎月(こげつ)、行ってたっけ?」
『おぉ!それがあったか・・・行ってみる!』
そんな返事が返ってきて通信は切れた。
きっと成功かな。
そんなことを思いながら十五分くらい待っていると、
「ただいま〜っと。今日の戦利品だぞ」
竜騎ともう一人――虎月が教室に入ってきた。
二人は僕の前にランチボックスが三つ入った袋を置いた。
そう、これが僕達の狙ってた物。
この学園では三ヶ月に一度、学食で限定十食特別メニューが販売される。
求める生徒数は約百人。
僕達もその中の一部だ。
運動は得意じゃない僕は二人に走るのを任せて、こうして指示を別場所から出していた。
「それにしても、拓海が指示するようになってから勝率が上がる上がる!」
「そうだな。今じゃ俺らも学園中の有名人だ」
竜騎と虎月が戦利品を食べながらそう言った。
その時の僕は「そんなことないよ」と言うだけだった。
「有名人」
この言葉が僕の運命を左右するなんてその時は知らなかったんだ。