デュラ夢長編

□4.悪夢を魅た
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4.悪夢を魅た




悪夢を見た。
ものの十秒で俺の目の前に展開させられたこの現実は悪夢と呼ぶに相応しかった。
あるものはその屈強な身体ごと
投げ飛ばされ。
あるものはナイフを握った手を間接ごと歪められ。
あるものはたった一発の拳で頬骨を折られ。
とにかく人間がとても出来る芸当ではなかった。
そう、あの大人しそうな
平和島静雄ができるものとはとても思えなかった。
俺だって一応は喧嘩なれしているつもりだし、それなりのスキルだって喧嘩で身に付けた。
だからこそ。だからこそ、
あの、細身で何の力も無さそうな青年が自分より一回りも二回りも大きそうな年上のチンピラを
ものの十秒で叩き伏せるなど到底信じられる筈がなかった。
いや、信じたくなかった。
とにかく喧嘩なれしている俺でさえ足の震えが止まらないくらい
怖くて
恐ろしくて
かっこよかった。
全ての敵を地に伏せさせたあと、
平和島静雄は顔に青筋を立てたまま教室を静かに後にした。
大きすぎる爪痕を残して。

成美視点



「お弁当食べたい。」
それだけの意思をメールで送ってどのくらい経っただろう。
泣きそうになりながら、
成美は廊下を歩いていた。
すると
「(折原臨也か………。)」
後ろから幽かに人の気配を感じ取った成美は

走る事を選択した。

成美はごく普通の女子高生だ。
しかし人見知りと口数が少ないところと
異常な程の足の速さを除いて。
彼女の脚力は尋常では無いほど
凄かった。
加速。
加速。
さらに加速。
そして飛ぶ。

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