デュラ夢長編

□5.忘れてしまおう
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5.忘れてしまおう




「ふーん流石に足は速いね。」
と、気味の悪い笑顔を張り付けるのは先程から成美をつけている折原臨也だ。
折原臨也は憎き静雄の新たな弱点になりそうな成美の事を調べていたのだが、
「警戒されちゃったか……。」
当然か。
あまりにも簡潔な答えに自然と笑みが零れる。
もっとも、その笑顔は不自然な程歪んでいるのだが。
そして彼女を丸め込むべく次の手にうって出た。




わすれたかった。
わすれかけていた。
なのに、なのに、どうして?
どうしてなみだがとまらないの?

気が付くと私は泣いていた。
校門の前まで来て初めて気がついた。泣くのは何年ぶりだろう。
「小学生の時以来かな………。」
空を見上げると私に同情するかのように曇天だった。

私がまだ小学生三年生だった頃。
家の近くに優子という同い年の女の子が引っ越してきた。
そう。あの時からだった。
私が人を信じられなくなったのは。

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