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□いぬのきもち
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しかし、元親の一言でその気持ちが変わる─
「なー元就が一緒じゃねぇと嫌なんだよ」
元就は縋るような瞳で元就を覗き込む。

一瞬、頭の中が真っ白になった。横で幸村が何やら喚いているが、一向に入らない。

─やれやれ。

「…仕様のない奴らよ。付き合ってやるわ」

「ありがとよ元就〜!!」「かたじけない!!」
がば、と抱きついてくるその姿は、ハスキーと柴犬そのものである。元就には、二人には無い筈の犬耳と尻尾が見えていた。

その後、近くに居た政宗、佐助も誘い、総勢五人となった。
店に向かう道すがら、先の一部始終を見ていた政宗が、元就に耳打ちする。

「Hey、毛利。手前ェんトコのPuppy、ちゃんと躾しとけよ。ハスキーの方な」
そう言って意味ありげにニヤリと笑う。
「…ふん」
鼻を鳴らしつつも、薄く笑みを浮かべる。

─これからたっぷり躾てくれるわ。他の者に尻尾を振らぬように。

「おーい元就、政宗。何してんだよっ!」
元親は上機嫌で元就の手を引っ張る。

─全く。

引きずられるその姿は、やんちゃな子犬に振り回される飼い主。


いつでもいっしょにいたいのです。
だって、あなたがすきだから。


《完》
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