OROCHI2夢

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「だが、今なら言える。葵はこうして私の存在を受け入れ、向き合ってくれる。私は――――――」





葵の目を強く見つめ、一呼吸置いて、酒呑童子は言葉を紡ぐ。













「幸せだ」



「……―――――!」






ゆるく目を細め、穏やかな、温かい笑顔で酒呑童子はそう告げた。

話の内容をすぐには理解できない葵は数秒間何も反応しなかったが、途中で目を見開いた。













「なっ…………何ですか、急に………っ!」




不意に、頬が赤くなり、体の熱が上がるのが手に取るように分かる。

葵は思わずうつむいた。







「葵が傍にいると……そう、嬉しいのだ」


「ッ!」




頭上から、また照れてしまう言葉が聞こえて葵の頬はさらに熱くなる。







「……不意討ちすぎます…………っ」



葵は頬を手でおさえ、自分自身に落ち着くよう言い聞かせる。






「この思いは“幸せ”だと分かった。早く葵に伝えたくてな」


「〜〜〜〜〜ッ!」





次から次へと、酒呑童子は葵が照れてしまう事ばかり口にする。

急に速くなった心臓の鼓動を落ち着かせようと胸を押さえるが、どうやら無意味らしい。




なぜこんなに心臓が高鳴ってしまうのか、葵にも分からない。ただ、酒呑童子の言葉と笑顔は、葵の心を揺らした。




揺らして、熱く溶かされるような感覚―――――――。

















「―――――葵」



胸を押さえる葵の手をそっと掴み、酒呑童子は優しく名を呼んだ。


酒呑童子の声は葵の耳に届いてはいるが、顔を上げなければと思いつつもまだ熱が引かず、鼓動も速いせいで上手く言葉を紡げない葵はうつむいたまま何も言えなかった。

















すると、急に葵の視界が揺れた。



「ひゃっ!!」





酒呑童子はいきなり葵の体を抱き上げ、姫抱きの状態にした。










「―――――――葵」








また名前を呼ばれ、葵は赤い顔でおずおずと酒呑童子を見上げた。















「ありがとう」




葵と視線が合うと、酒呑童子は優しく、一つの言葉を告げた。









「〜〜〜〜〜〜ッ!」




その言葉と笑顔に、葵は心臓を掴まれたような感覚に陥る。



バカ、と悪態をつきそうになったが、あいにくそんな短い言葉さえもすんなりと出てきてはくれなかった。


恥ずかしくて顔を合わせていられなくなった葵はプイッと視線を反らしたが、小さな声で、



「私も嬉しいです」





とつぶやいた。




それが聞こえたのか、酒呑童子は満足気な、それでいてどこか楽しそうな笑顔を浮かべた―――――。





















first happiness...







貴方との“幸せ”を、



伝え




貴方と共有できる、





幸せ─────────












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