無双過去夢
□君がいる、だから僕がいる
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「そういえば葵、お前の親はどうしているんだ」
葵の家族の話を一度も耳にしたことも、聞いたこともなかったと思い、俺は葵にそう尋ねた。
「ッ………親、は……」
俺の質問に対し、葵は見るからに動揺している。
「……親は、いません」
そう言う葵の横顔はあまりにも悲しげだった。
無理矢理作った微笑みが、余計に悲しみの色を強くしている。
「………死んだのか?」
葵は、小さく頷いた。
「……私の住んでいた村は、もう滅んでしまいました。生き残ったのは、ほんの数人だけです………」
葵はうつ向いて、俺の方を見ようとしない。
―――――嫌な、予感がする
「………何という村だ?」
その問いに、葵の小さな肩が震えた。
「……………… です」
「な…ん、だと………?」
葵の口から出た村の名前に、俺は己の耳を疑った。
その村はつい最近、俺達豊臣軍が滅ぼした村だった。
そして、それを指揮したのは他の誰でもない―――――――――
俺だったのだ。
俺が、葵から全てを奪い、
葵を、を悲しませている―――――
「葵……まさかお前、俺がお前の村を滅ぼしたと、知って………?」
でなければ、葵があんなに動揺するはずがない。
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