無双過去夢
□碧眼メシア 壱
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ある月の輝く夜、傷ついた猫を拾った。
その猫は怖がりもせずあまりに無邪気に、我になついた―――――。
『碧眼メシア』
まだ世から戦が無くなったわけではなく、乱世はまだ続いている。
とは言っても特別大きな戦が起こっているわけではなく、小規模な争いが各地で起きている。………いずれ、大きな戦に発展するだろう戦が。
今日の夜も城の近くで争いがあった。
どうやら、敵の忍が小田原まで偵察に来ていたようだ。
「………誰の差し金だ?」
片手で首を掴んで力任せに敵の忍の体を浮かせ、薄笑いをうかべながら、もがき苦しむ様を見る。
辺り一面には他の忍の息絶えた死体がいくつも転がっている。
「貴、様に……言うぐらいなら、自ら死を選ぶ………っ!」
「クク、そうか…。ならば…………失せろ」
言うと同時にギリッと首を締め上げると、その忍は低い唸り声を上げてこの世を去った。
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