OROCHI2夢

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満月の光が煌々と辺りを照らす夜。



城から少し離れた小高い丘。
そばに大きな瓢箪を置き、盃を手にして酒呑童子は酒を飲んでいた。



















「――――――酒呑様」




不意に、背後から声がした。




「こんな所にいたんですか」




困ったような笑顔を浮かべ、酒呑童子のそばに来たのは、予想通り葵だった。






「もう随分冷えてきましたから、そろそろ中に入らないとお体に障ります」




心配そうにそう言うと、葵は自らの体に纏っていた厚手の布を酒呑童子の背に掛けた。






「酒を飲んでいると温まる。葵も飲むか?」



寒そうな素振りなど見せず、酒呑童子は微笑みを浮かべてそう尋ねた。


あまり長い間外にいるのも心配だが、確かに酒を飲めば体は温まる。
何より、酒呑童子の柔らかい笑みでの誘いを断ってしまうのは惜しく感じた。







「………では、少しだけ」



ほんの数秒考えた後、葵はそう言って酒呑童子の横に座った。
酒呑童子は背に掛けられた布を引っ張って葵の小さな背にも掛けた。

それほど酒に強くない葵だが、こうして酒呑童子の隣で飲むのは好きで、心が休まる。




互いに酌をし合い、満月を眺めた。





























「酒呑、様………」


「どうした?」




しばらくして、葵がふと酒呑童子を呼んだ。



「…温かい、です………」



とろんとした表情で酒呑童子を見上げ、ふにゃりと笑って葵は他愛もない事を呟いた。
酒のせいで体全体が温もっている。




「酔ったか?」



すっかり顔が赤くなっている葵を見て酒呑童子は小さく笑った。





「ん……………」


酒呑童子がその赤い頬に指を添えると、葵は心地良さそう目を閉じた。






「…酒呑…さ………」



とても小さな声で寝言のように名前を呼ぶと、こくん、と頭が揺れた。

酒呑童子は腕を伸ばし、肩を抱き寄せて今にも眠ってしまいそうな葵の体を自分にもたれかけた。













「…温かいな…………」




静かな寝息を立て始めた葵の髪を撫で、酒呑童子は満足気に微笑んだ。







肩に感じる温もりが心地良く、愛おしい。



今夜の酒はいっそう美味いと思いながら、盃に入った酒を飲み、月を見上げた――――――――。






























そばにいるだけで、酔ってしまう存在―――――

























****************

突発的に浮かんだ小ネタだったので内容が無いよーな上にあまり甘くもないっていう/(^o^)\

しかし満足である!(`・ω・)

月見酒ってすごく酒呑に似合うだろうなーと!あえて当て字にしましたが!!



ちなみにまだ恋仲ではない段階。ギリギリ一歩出前ぐらいの。
でもお互い特別な存在ではある。



それを踏まえて次ページにおまけ的な。その後的な。夢主視点。

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